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03/2000 第9回インテリジェント材料シンポジウム[講演要旨]
次世代高トルクモータの開発を可能にする
永久磁石を使用したハイブリッド型可変リラクタンス磁石に関する研究

1.まえがき
 現在、モータの開発は微小モータの開発、ステッピングモータの高精度化、消費電力の低減(省エネ化)、高トルク化等多岐にわたっている。特に、低消費電力で高トルク小型モータは車椅子等の動力源などの介護・看護の分野や工作機器に代表される工業分野など幅広い利用が期待される。通常これらに用いられているモータは、永久磁石を用いたモータがほとんどである。これら永久磁石を使用した従来のモータは、その駆動力をローレンツ力に起因している。この従来型のモータは技術的にかなり成熟しているため、飛躍的な高効率化・高トルク化は困難である。そのため、高効率化・高トルク化のためには、インテリジェントな新しいモータの開発が必要である。最近、永久磁石の磁力を利用したモータが開発されている。しかし、この永久磁石の磁力を利用したモータは、磁石の組み合わせのみの構造であり、実用上有効なモータであるかどうか定かでない。本研究では、永久磁石と電磁石とを組み合わせたハイブリット型可変リラクタンス磁石を開発し、磁力制御による高トルクモータの開発について検討を行った。

2.実験方法
 図1に本研究で使用したハイブリット型可変磁石の概念図を示す 。ハイブリット型可変リラクタンス磁石は永久磁石(Nd-Fe-B系)、ヨーク部(工業用純鉄)、電磁石より構成されている。ハイブリット型可変リラクタンス磁石の評価は、ヨーク部直上に設置した磁性材料に対する引力を引張試験器(島津製作所、オートグラフAE-10)により測定し、評価した。

3.実験結果及び考察
 図2は、電磁石のみの場合と電磁石と永久磁石を組み合わせたハイブリット型可変リラクタンス磁石の場合のコイル電流と引力の関係を示している。この図より永久磁石を入れることで約3.5倍の引力になることがわかる。また永久磁石単体の場合よりも大きいことがわかる。これらのことから、ハイブリット型可変リラクタンス磁石は、通常の電磁石の場合と同様に磁場により発生する引力を可変できるだけでなく、少ない電流量で永久磁石のみの場合より強い引力を発生することを確認した。ところで、ハイブリット型可変リラクタンス磁石を用いてモータを設計する場合、回転子がすれ違うときに発生する力がモータのトルクに大きく影響する。
 図3は、磁性材料と違ったときの移動距離と引力の関係を示している。この図よりハイブリット型可変リラクタンス磁石は電磁石単体、永久磁石単体の場合よりも大きな引力を発生していることがわかる。更に移動距離が短い位置においても引力を生じている。このことから、ハイブリット型可変リラクタンス磁石によるすれ違いでは、永久磁石のみの場合や電磁石のみの場合に比べて利用できるエネルギーが大きいことがわかる。
 これらのことから、ハイブリット型可変リラクタンス磁石を用いてモータを構成すると、電流を制御することで回転が制御でき、且つ従来からある同一のサイズのモータよりも高トルクが得られる可能性がある。


4.結 論
 本研究では、新しく開発したハイブリット型可変リラクタンス磁石のモータへの利用を目的として、基本特性の評価を行った。その結果、電流により磁石強度を制御できるだけでなく、電磁石のみの場合や永久磁石のみの場合に比べ、エネルギーの変換効率が高いことがわかった。これらのことから、ハイブリット型可変リラクタンス磁石をモータに用いた場合、同一サイズのモータより小型で高トルクのモータが設計できる可能性を見出した。


参考文献
1)Y.Ochiai, Y.Nishi, K.Oguri, S.Ogino, Y.Makabe, U.S.Pat. 10-27884 (Jan.27,1998).
2)落合 康住、西 義武、小栗 和也、荻野 三四郎、特開平11-214217、1999。